2026.9.29
Vol.6 南山廣場公寓大廈管理維護股份有限公司(NPPM)
日本と台湾、それぞれの強みを生かして
現地で育てる、新しい運営管理のかたち

うらトーク -心躍る場の舞台裏-
当社各拠点で行われている日々の業務を、現場で向き合う社員や関係者の声とともに紹介する、現場の舞台裏を紐解くコンテンツです。仕事の中で重ねてきた工夫やエピソードを通して、「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」とのつながりと、“心躍る場づくり”に至るまでの工夫や想いをお届けします。
台北のランドマーク・台北101に隣接する「臺北南山廣場(Taipei Nan Shan Plaza)」。オフィス、商業、芸文ホールの3つの用途からなる大規模複合施設です。多くの人が行き交うこの施設で、入口棟とオフィス棟を中心に運営管理を担っているのが、南山廣場公寓大廈管理維護股份有限公司(通称:NPPM)。台湾の現地企業と当社が共同で設立したNPPMは、「臺北南山廣場」をはじめとする施設の運営管理に加え、当社が日本で培ってきた運営管理のノウハウを台湾へ展開する役割を担っています。
日本と台湾では、同じ運営管理業務でも、建物のつくりから設備、仕事の進め方、協力会社との関わり方など、さまざまな違いがあります。
台湾ならではの文化や仕事の進め方を理解し、それぞれの強みを掛け合わせながら、この土地に合った運営管理のやり方を模索するNPPM。今回は、その最前線で試行錯誤を続ける日本からの出向者である松尾憲さん、蘇志豪さん、長谷川大吾さんと、「臺北南山廣場」の責任者を務める現地スタッフの鄭維鈞さんの4名に、台湾で働く魅力や難しさ、そしてNPPMが描く未来について話を聞きました。
三菱地所グループと
社会の持続可能性4つの重要テーマとの関わり
三菱地所グループでは、長期経営計画2030の社会価値向上戦略において、サステナブルな社会実現に向けて、当社グループが注力するべき「三菱地所グループと社会の持続可能性4つの重要テーマ」を定めています。三菱地所プロパティマネジメントでは、その4つの重要テーマ「まち・サービス」「地球環境」「人の尊重」「価値の創造」を軸に、事業を通じてサステナビリティを推進しています。今回は、「まち・サービス」「価値の創造」の2テーマでお届けします。
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次世代に誇るまちのハードとソフトの追求
世代を超えて愛され、有機的に発展する「選ばれるまち」へ
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環境負荷軽減に尽力し続ける
持続可能なまちと地球環境の実現
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人を想い、人に寄り添い、人を守る
多様な人々が幸せに働き、暮らせる社会へ
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新たな価値の創造と循環
時代の変化を先取りし、豊かさや便利さを育む
台湾の即応力×日本の予防保全を生かした
新しい運営管理の模索
台湾での仕事は、想像以上に「違い」と向き合う日々だったといいます。
赴任当初、3人の出向者を驚かせたのは、日本では馴染みのない発想や仕事の進め方の数々。その一つが、建物に対する考え方でした。
台湾は風水をとても大切にしています。入口棟は財を呼び込むようにがま口をモチーフにした外観になっており、オフィス棟は感謝や祝福を表す合掌及び南山のイメージである山がモチーフで、上に行くにつれてすぼんでいく形状をしています。このように日本のビルではあまり見かけない発想が随所に散りばめられています。
台湾の文化をよく知る鄭さんは、そう説明します。出向者にとって新鮮だったのは、こうした文化だけでなく、運営管理に対する考え方の違いも同様でした。
「台湾では、まず現場で迅速に対応することが重視され、そのスピードにはいつも驚かされます。一方、再発防止や予防保全など、『次に生かす』ための考え方は、日本で培ってきた私たちの強みです。利用者さまに安心・安全な環境を提供するために、台湾と日本、それぞれの良さをNPPMの運営管理に生かしていきたいというのが、私たちの共通認識です」
そう語るのは、業務推進課の蘇さん。NPPMでは、三菱地所プロパティマネジメント(以下、MJPM)が日本で培ってきた知見や事例を共有しながら、オーナーさまへ予防保全の重要性を継続的に提案しています。
例えば、建物内で繰り返し発生していた壁の擦り傷。傷ができるたびに補修するのではなく、人の動線を確認して原因を分析した結果、傷つきやすい箇所にステンレス板を設置。問題そのものが起きにくい環境へと改善しました。
さらにNPPMでは、設計段階からオーナーさまへ提言することも。というのも、「実際の利用者及び管理上の利便性」という観点は設計、建設サイドでは気が付きにくく、開業後の修繕・維持管理費が増えてしまうケースがあります。そこで、建物の設計段階から、蓄積した事例や運営管理経験をもとにした長期的な維持管理を見据えた改善提案も行っています。
目の前で起きている課題への迅速な対応と、その先を見据えた予防保全。そのどちらかではなく、両方を実現することがNPPMの運営管理です。台湾と日本、それぞれの強みを融合しながら、この土地だからこそできる新しい管理のかたちを模索しながら、オーナーさまとの信頼関係を構築しています。
決まった正解がないから面白い。
自分たちで広げる、台湾での仕事
台湾で働くうえで欠かせないのが、多様な関係者とのコミュニケーションです。
オーナーさま、テナントさま、協力会社の方々、そして現地スタッフ。言語や文化はもちろん、それぞれ考え方や立場も異なります。
松尾さんが直面しているのは、協力会社との関わり方。
台湾では、建物が完成すると施工会社との関係が途切れることが少なくありません。そのため修繕や工事の際には都度、協力会社へ建物のルールや設備特性を共有しながら進める必要があります。
「日本では当たり前だったことが、そのまま通用するとは限りません。だからこそ、相手の考え方や仕事の進め方を理解しながら、一緒により良い方法を考えていくことが大切だと感じています」
一方、こうした試行錯誤を重ねながら、NPPMならではのサービスも生まれています。その一つが、テナントさまの専有部まで踏み込んだサービスです。設備保守や不定期点検など、それぞれのテナントさまのニーズに合わせて柔軟に対応しています。
「共用部の管理を担うPM会社が、専有部まで幅広いサービスを提供することは、台湾のPM業界ではまだ珍しい取り組みだと思います。テナントの皆さまから『ここまで任せられるんだ』と感じていただけるような存在になれたらと思っています」
鄭さんはそう話しながら、笑顔を見せます。
こうしたサービスは、テナントさまとの信頼関係を深めるだけでなく、臺北南山廣場を選び続けていただくことにもつながっています。建物を維持管理するだけではなく、そこで働く人や企業に寄り添い、安心して事業に取り組める環境を支えること。それも、NPPMが目指している姿です。
「NPPMはいま、事業をさらに広げていく成長の真っただ中にあります。台湾の設備や運営管理の考え方に触れながら、日本では経験できない仕事に挑戦できる。自分たちで仕事の幅を広げていけることが、台湾で働く醍醐味だと思います」
決まった正解がないからこそ、自分たちの手で新しい運営管理のかたちをつくっていける。松尾さんの言葉からは、苦労を上回る期待感が伝わってきます。
心躍るTOPICS
業務の中で生まれる、小さな手応えや達成感。
そんな“心が躍る瞬間”を聞きました
台湾での仕事は、一人では成り立ちません。協力会社の方から「また顔を見られて良かった」と声をかけてもらったとき。慣れない中国語で会話を重ね、現地スタッフとの距離が少し縮まったと感じたとき。オーナーさまやテナントさま、一緒に働く仲間から頼りにされたとき。そんな何気ない瞬間に、ここで積み上げてきたものを実感します。国も文化も違う。それでも同じ目標に向かって力を合わせる仲間がいる。そのこと自体が、NPPMで働く大きなやりがいであり、“心躍る瞬間”なのです。

国を超えた学びと交流が、
NPPMの未来をつくる
台湾での運営管理を支えているのは、一人ひとりの経験や専門性です。NPPMでは、それぞれが持つ知識やノウハウを個人のものにせず、組織全体の力へと変えていくことに力を入れています。
その代表例が「PM小学堂」です。
鄭さんを中心に始まったこの取り組みでは、設備管理やPM業務の知識、経験を社員同士で共有。若手社員にとっては、実務を学ぶ場であると同時に、部署や世代を超えて学び合う機会にもなっています。
「一部の経験豊富な社員だけが知識を持っていても、会社の力にはなりません。『PM小学堂』が、一人ひとりの専門性を組織の財産に変える場になればと思っています」
こうした思いから、蘇さんは、現場で起きたトラブルや失敗事例についても積極的に共有を促し、組織の学びとして蓄積する文化づくりを進めていると話します。
さらに近年は、MJPMとのオンライン研修も活発になっています。
「日本の最新事例や管理ノウハウを学ぶだけでなく、台湾と日本のメンバーが顔を合わせ、互いの考えや経験を共有しています。そして物理的な距離はあっても、同じグループの仲間であることに変わりないということ。それを実感できる貴重な機会にもなっています」
そう話す長谷川さんの前向きな表情からは、国を超えてともに学び合い、交流を深めていくことへの期待が伝わってきます。
臺北南山廣場から、その先へ。
活躍のフィールドを、もっと広く
設立から約10年。NPPMは今、臺北南山廣場で積み重ねてきた経験を、新たな物件や事業へと広げる次のステージを迎えています。
その広がりを象徴するのが、信義エリアにおける挑戦です。臺北南山廣場周辺で進む大規模開発も視野に入れ、エリア全体の管理体制を構築し、統括管理を担うことを目指しています。単一の建物ではなく、まち全体の価値向上に貢献する運営管理へ。そのフィールドは着実に広がりつつあります。
「会社が成長していくためには、社員一人ひとりが生き生きと働ける環境をつくることも大切です。社員が力を発揮することで、会社のレベルも上がり、その成長がまた社員に還元されていく。そんな好循環をつくっていきたいですね」
長谷川さんが思い描くのは、社員と会社がともに成長していく未来。そして、松尾さんは、さらにその先の未来をこう描きます。
「大きな夢ですが、『臺北南山廣場」から活躍の場を広げ、台湾のPM業界全体に新しい価値を生み出していきたい。そうしていつか、『台湾一のPM会社だね』と言っていただけたら、うれしいですね」
その表情には、NPPMのこれからへの期待がにじみます。
日本のやり方を、そのまま持ち込めばいいわけではない。かといって、台湾のやり方にただ合わせるだけでもありません。それぞれの強みを掛け合わせ、学び合い、違いを力に変えていく。その先に、台湾だからこそ実現できる新しい価値があります。
臺北南山廣場で積み重ねた経験を、次の建物へ、そしてまちへ。
日本と台湾、それぞれの強みを生かしながら、この土地に合った運営管理のかたちを追求していく。NPPMの挑戦は、ここからさらに広がっていきます。
物件概要
- 物件名:臺北南山廣場(Taipei Nan Shan Plaza)
- 所在地:台湾台北市信義區松仁路100號
- 竣工年:2018年
- 規模:地上48階、地下4階(オフィス棟部分)
- 構造:S造
- 構成:入口棟、オフィス棟、商業棟の3棟構成
- 延床面積:192,155m2(入口棟、オフィス棟、商業部分含む)







