2026.7.24

Vol.5 品川運営推進部 三田国際ビル

“人が育つ現場”をつくっていく「教育ビル」という挑戦

うらトーク -心躍る場の舞台裏-

当社各拠点で行われている日々の業務を、現場で向き合う社員や関係者の声とともに紹介する、現場の舞台裏を紐解くコンテンツです。仕事の中で重ねてきた工夫やエピソードを通して、「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」とのつながりと、“心躍る場づくり”に至るまでの工夫や想いをお届けします。

三田のビジネス街の一角にある三田国際ビルは、約2,300m2のフロア面積を誇る大型オフィスビルです。当社は、その運営管理を担っています。

このビルにはもう一つの顔があります。それは、当社における施設管理の現場を担うプロフェッショナルである施設技術系総合職の若手人財育成を担う「教育ビル」であること。

その現場を率いる菅原さんも、この場所で当社でのキャリアをスタートさせた一人です。かつては“教えられる側”だった彼はいま、“育てる側”の責任者として、若手社員が自ら考える力を育み、挑戦できる環境づくりに向き合っています。

今回はそんな菅原さんに、ビルでの実践教育を通じた人財育成で大事にしていることや難しさ、日々の業務から生まれる“心躍る瞬間”などについてお話を伺いました。

三菱地所グループと
社会の持続可能性4つの重要テーマとの関わり

三菱地所グループでは、長期経営計画2030の社会価値向上戦略において、サステナブルな社会実現に向けて、当社グループが注力するべき「三菱地所グループと社会の持続可能性4つの重要テーマ」を定めています。三菱地所プロパティマネジメントでは、その4つの重要テーマ「まち・サービス」「地球環境」「人の尊重」「価値の創造」を軸に、事業を通じてサステナビリティを推進しています。
今回は、「人の尊重」「価値の創造」の2テーマでお届けします。

  • まち・サービス

    次世代に誇るまちのハードとソフトの追求

    世代を超えて愛され、有機的に発展する「選ばれるまち」へ

  • 地球環境

    環境負荷軽減に尽力し続ける

    持続可能なまちと地球環境の実現

  • 人の尊重

    人を想い、人に寄り添い、人を守る

    多様な人々が幸せに働き、暮らせる社会へ

  • 価値の創造

    新たな価値の創造と循環

    時代の変化を先取りし、豊かさや便利さを育む

三菱地所グループと社会の持続可能性4つの
重要テーマについてはこちら →

経験がないまま指示をする
その怖さを知っているから

教育ビルが生まれた背景には、主に担当施設に常駐して、管理業務全般に当たる中での、現場特有の課題がありました。それは、実務経験を積む機会が限られていたこと。この仕事では、「実践経験がないこと」は大きなリスクにつながりかねません。

というのも、ビルの管理業務では、当社メンバーが警備・清掃・設備管理に従事する協力会社に指示を出す機会が多く、あらゆる場面で判断力が求められるためです。しかし、実務経験が浅い若手社員にとっては、その判断が難しいのが実情。場合によっては、協力会社に無理な要求をしてしまうリスクすらあると、菅原さんは語ります。

そこで生まれたのが、「教育ビル」という取り組みです。その第一号として位置づけられたのが、「三田国際ビル」。当ビルは、大型ボイラーや冷凍機といった熱源機器を有しており、必要な知識と経験を十分に得られることから、「教育ビル」として選ばれました。

「実際に経験してみないと分からないことは、やっぱり多いです。たとえば空調設備の点検頻度もその一つ。協力会社から業務効率の観点で『台数が多くて大変なので、点検回数を減らせないか』と相談された際、知識がなければ安易に了承してしまうかもしれません。しかし、その判断が法令で定められた基準を満たさず、違反につながるおそれがあることも。そうした『知らなかった』では済まされないことが、この仕事にはあります」

だからこそ菅原さんは、人財育成の重要性を強く感じています。そのため、日常点検やトラブル対応などの基本的な業務に加え、設備の効率的な運用判断や、改善提案まで、実践の中で学べる「教育ビル」の人財育成に取り組んでいます。

少し背伸びすれば届く難易度の仕事が
若手を成長させる

三田国際ビルでの人財育成方針は、主に三つあります。それは「考える力を養うこと」、「仕事を楽しめるようにすること」、「チームでの業務の進め方を学ぶこと」。なかでも菅原さんが特に意識しているのは、「考える力を養うこと」、つまりティーチングではなく、コーチングを重視することです。一人ひとりが自ら考え、主体的に仕事に取り組めるような育成を心がけているといいます。

「『なぜ今これをやるべきなのか、この業務にどんな意味があるのか』を、まず自分で考えてみる段階を挟むことが、自分ごととして捉える第一歩になると考えています。自分ごととして捉えられれば、自然と次の行動にもつながっていく。そのため、最初から答えを教えるのではなく、自分で理解しながら進めていけるように意識しています」

また、経験豊富な人に任せれば確実にこなせる業務を、あえて全くやったことのない若手社員に積極的に任せてみることで、試行錯誤する機会をつくっています。

「できる人にお願いすれば早いですが、それでは育成にはつながりません。少し難しくても、背伸びすればできる。そういう業務を選んで任せています」

日々の業務の中で、考え、迷い、そして乗り越える経験をつくる。その積み重ねが、一人ひとりの成長だけでなく、ビル全体におけるチームとしての力にもつながっています。

心躍るTOPICS

業務の中で生まれる、小さな手応えや達成感。
そんな“心が躍る瞬間”を聞きました

入社したばかりの頃は右も左も分からなかった新入社員が、少しずつ経験を積んで、気づけば自分で段取りを考えて動いている。ビル管理で一番大変な作業の指揮を2年目の社員が率先して取り組んでくれて、後輩に頼られる良き先輩として活躍している。そういった姿を見た時が、“心躍る瞬間”です。また、何か相談を受けてアドバイスをしたあとに、「なるほど納得できた」というようなすっきりした表情を見た瞬間も、「ああ良かったな」という気持ちになります。理解して前に進もうとしている様子が伝わるからですね。「教育ビル」ならではのやりがいです。

成長のきっかけは人それぞれ
任せることで生まれる変化

人財育成において、菅原さんが難しさを感じるのは、同じ内容を伝えても、人によって理解や捉え方が大きく異なる点だといいます。

「なかには、なかなか仕事の面白さを見出せない社員もいます。そこは無理に変えられるものではないと思っていますが、少しでも前向きなきっかけをつくれるように意識しています」

そのやり方の一つとして挙げられたのは、責任のある仕事を任せること。自分で考えて判断し、周囲に働きかける立場に置く。そうすることで、意識が大きく変わる場面が数多くあったと振り返ります。

「大きな責任を伴う立場を任せてみると、それまで受け身気味だった人でも、自分で動かざるを得なくなります。その経験を通じて次第に自分で考え、主体的に動くようになり、仕事への向き合い方も変わっていく。その変化を何度も見てきました」

ある防災訓練での出来事です。ビル内のテナントのオーナーさまに参加してもらう重要な訓練でありながら、準備が不十分で、一つ一つの行動の意味を十分に伝えられないまま進行してしまったといいます。

「たとえば排煙口を作動させるボタンを押すシーンなどにおいて、『この操作に何の意味があるのか』まで説明できていなかったんです。多くの人の時間を割いて参加いただいていることを考えたうえで、本当にこれでよかったと思うか、率直に問いかけました」

あえて明確な答えは示さなかったものの、その後担当していた社員自ら、「次はこうしたい」と改善案を持ってきました。訓練の目的を整理し直し、進め方を一つ一つ見直した結果、次の機会では大きく改善。参加者に納得感を持ってもらえる内容へと変わりました。

こうした変化は、本人の成長にとどまりません。次は指導役として、同じ業務を行う後輩についてもらうことで、育成する側とされる側、双方にとって学びが循環するような役割分担を意識しています。一人ひとりがこうして立場を行き来する中で、現場全体の力が底上げされていくのです。

前向きに、楽しく働ける場所だからこそ
人は挑戦できる

「一番は、ここで働く皆さんが楽しく仕事をしてくれることです」

菅原さんにとって、三田国際ビルは育成の場である以前に、まずは一人ひとりが前向きに仕事と向き合える場でありたいといいます。そのために大切にしているのが、挑戦しやすい環境づくりです。

「具体的には、新しい提案をしやすい職場づくりを目指しています。『これは実現不可能だ』とすぐに判断するのではなく、みんなで『どうすればできるか』を考えられる職場にしたいと思っています」

そのためには、安心して発言や相談ができる空気づくりが欠かせません。未経験の社員が多いことから、同じことを何度聞いてもいいよう、何度でも教えてあげてほしいと伝えているとのこと。

「別の現場に異動して、判断に迷ったときなどに、三田国際ビルで学んだことを思い出してくれたらいいなと思います。場合によっては、見本ではなく反面教師としてでもいい。ただ、若手社員にとって“成長のきっかけになった場所”として、記憶の片隅に残っていれば、それほどうれしいことはありません」

そう語る菅原さんの言葉には、あたたかい力が込もっています。

三田国際ビルはこれからも、人を育て、次の現場でも、すべてのビル利用者への安全で安心、快適な環境の提供へとつないでいく場所として、誰かの「はじまりの一歩」を支え続けます。

物件概要

  • 物件名:三田国際ビル
  • 所在地:東京都港区三田一丁目4番28号
  • 竣工年月:1975年6月
  • 規模:地上 26階・地下 3階・塔屋 2階
  • 構造:鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)
  • 延床面積:111,658.42m2

「うらトーク~心躍る舞台裏~」

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