三菱地所グループが挑む、木造・木質建築の新たな可能性
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鹿児島県に本社を構えるMEC Industry株式会社は、三菱地所グループの一員として、国産木材の調達、製材・加工から製造・販売までを一貫して手がける総合林業事業会社です。
同社が三菱地所や乃村工藝社などとタッグを組み、近年開発したのが、自然素材を活かしたOAフロア「WOOD FLOOR UNIT 3.2」。鹿児島県湧水町にある自社工場で製造されており、CLT(直交集成板)(※)を用いたこの製品は、炭素固定や環境負荷の低減を意識した設計が特徴です。
※CLTとはCross Laminated Timber(JASでは直交集成板)の略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のこと。
(引用:一般社団法人CLT協会 CLTとは|一般社団法人 日本CLT協会|CLT(Cross Laminated Timber))
地域資源を活かしたものづくりを通じて、森林の循環利用やSDGsの達成にも貢献しており、その魅力は東京のオフィスにも徐々に広がりつつあります。
今回は、営業担当の福田さんに、CLTの魅力や製品開発の背景についてお話を伺いました。
木の力でオフィスを変える
―CLTを活かした「WOOD FLOOR UNIT 3.2」の挑戦とこだわり―
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―御社が製造・販売されている木のOAフロア「WOOD FLOOR UNIT 3.2」の特徴について教えてください。
「WOOD FLOOR UNIT 3.2」は、CLTを活用した自然素材のOAフロアです。一般的なOAフロアは、パネルの上にカーペットを敷く仕様が主流ですが、この製品はCLTの美しい木目をそのまま仕上げ面として活かしているため、オフィス空間に自然の温もりと高い意匠性をもたらします。
さらに、CLTならではの高い強度により、重量のあるオフィス家具を設置しても問題なく使用できます。表面にはこの製品のためにリンレイさんにご協力いただき、オリジナルで開発したアクリル系の特殊コーティングを施しており、汚れを防ぎながらも木の手触りや香りを感じられる仕上がりになっています。
また、木材が持つ炭素固定効果により、地球温暖化防止にも貢献できる点も大きな特徴です。例えば、100㎡分の製品を導入した場合、約3.2トンのCO₂固定効果が期待されます(※パネル厚54mm仕様での試算)。この「3.2」という数字が、製品名にも込められているんですよ。
―木の魅力が存分に活かされた製品ですね。OAフロアということで、段差や表面の凸凹が心配されますが、その点はいかがでしょうか?
ご指摘の通り、通常のOAフロアではパネル同士を接続する際に金具が表面に見えてしまい、木目の美しさが損なわれることがあります。そこで、開発チームの一人が「裏側で留めるボタン状の突起金具」を使うアイデアを出しました。
この特殊な金具の製作を依頼できる企業を探した結果、ユニクロさんのボタンも手がける丸山金属工業さんにご協力いただけることになりました。最初は突拍子もない相談に驚かれたと思いますが、我々の意匠美へのこだわりに共感していただき、試行錯誤の末に理想的な金具を完成させてくださいました。
さらに木目の節も手加工で丁寧に均すことで表面の凹凸がほとんどなく、カーペットを敷かずともフロアとして安全に使用できる仕上がりを実現しております。
―高い意匠性の裏には、さまざまな工夫と協力があったのですね。
はい、製品化までには構想から約3年を要しました。留め具以外にも、オフィス家具の設置に耐えられる強度(耐荷重)を確保するためCLTの厚さを調整したりと何度も試験を重ねてきました。
現在、日本国内でCLT構造の木床を扱っている企業は他にもありますが、弊社の製品は不等厚のパネルを製造することで一般的なOAフロア同等の耐荷重を担保している点が大きな強みです。高い強度と美しさを兼ね備えたCLT製OAフロアとして、オフィス空間に新たな価値を提供できると自負しています。
ワークスペースを「木」で一新
―「WOOD FLOOR UNIT 3.2」がもたらす空間の変化-
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―WOOD FLOOR UNIT 3.2を導入されたお客様の声をご紹介いただけますか?
導入いただいた企業様の一例をご紹介いたします。この企業様は環境価値・意匠性・ウェルネスという3つのキーワードを軸に、ワークスペースの大規模リニューアルを実施されました。
老朽化した中古ビルのオフィス空間に木材をふんだんに取り入れることで、サステナブルなオフィス環境と働く人のウェルネス向上を両立。床材には「WOOD FLOOR UNIT 3.2」を採用いただき、木の質感と香りが広がる空間が完成しました。
導入後は、暗い印象だったワークスペースが、木の風合いを感じるやさしく自然な雰囲気へと一変。自然光との相乗効果で、リラクゼーション効果の高い快適な空間に仕上がったとご好評いただいています。
―木を取り入れることで、空間が心地よくなるのですね。今後、どのような企業様にご活用いただきたいですか?
環境意識の高い企業様には、ぜひ一度「WOOD FLOOR UNIT 3.2」を体験していただきたいと思っています。全面的な木材導入はハードルが高いと感じる方も多いかもしれませんが、本製品は通常のOAフロアと同規格のため、小面積からの導入が可能です。
例えば、コミュニケーションスペースや会議室の床材だけを木に変更することで、空間の印象が大きく変わります。木の香りが漂うことで、リラックスした雰囲気が生まれ、より良いアイデアや対話が生まれる場になるかもしれません。
―今後のPR活動について教えてください。
今後は、展示会への積極的な参加を進めるとともに、実際に見て・触れて・感じていただく体験型のPRを強化していく予定です。木のぬくもりや香りは、言葉だけでは伝えきれない魅力がありますので、実物件の見学を通じてその価値を直接感じていただきたいと考えています。
三菱地所株式会社の本社をはじめ、東京や大阪に複数の見学可能な場所をご用意しています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
国産材をオフィスに取り入れることで、国内森林の炭素固定効果が期待でき、森林の健全な循環を促進することにもつながります。SDGsや社会課題の解決にも貢献できる、新しい建材「WOOD FLOOR UNIT 3.2」を、ぜひ一度ご体感ください。
―本日は、ありがとうございました。
MEC Industry株式会社
営業部 福田 咲絵
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