使い捨て傘ゼロを目指して
=============================================

年間約8,000万本——これは、日本で1年間に消費されるビニール傘の本数です。
雨の日が多い日本では、一人あたり平均3.3本もの傘を所有しているといわれ、傘の消費量は世界トップクラス。年間で消費される傘は約1.2~1.3億本にも及び、そのうち約6割、8,000万本が使い捨てのビニール傘です。
(引用:https://www.i-kasa.com/)
しかしこのビニール傘、鉄やプラスチックなど複合素材で作られているため分別・リサイクルが非常に困難。
その多くが埋め立て処分されています。
こうした現状を変えたいという思いから、傘のシェアリングサービス「アイカサ」が誕生しました。
今回は、株式会社Nature Innovation Group COO・勝連さんに、アイカサの魅力やこれからの展望についてお話を伺いました。
雨の日をもっと快適に、もっとハッピーに
=============================================

― アイカサとは?その特徴を教えてください。
「アイカサ」は、2018年12月にスタートした日本初の傘のシェアリングサービスです。
「借りたい場所で借りて、返したい場所で返す」というシンプルな仕組みで、現在は首都圏で約750駅以上の駅で利用することができます。
“雨の日を快適にハッピーに”と“使い捨て傘ゼロ”を目標に、サービスの拡大を進めています。
― 鉄道沿線での展開は便利ですね!
はい、特に通勤途中や営業の外回り中などに急な雨が降っても、すぐに傘が借りられるので非常に便利です。
サービス開始当初は渋谷の50カ所からのスタート。駅周辺の店舗を一軒ずつ回って直接交渉し、少しずつ拠点を増やしてきました。今では全国約1,800カ所に広がり、2021年4月にはJR山手線全駅への導入も完了しました。直近では東京メトロ全駅への導入予定も発表いたしました。
この背景には、鉄道各社が抱える「傘の置き忘れ問題」があります。壊れたビニール傘をわざと置いていく人や、安価なために忘れても取りに来ない人が多く、鉄道会社の負担が増えていたのです。
アイカサの導入によりその負担を軽減でき、ユーザーにとっても「傘を持ち歩かなくていい」というストレスフリーな体験ができます。
また、利用者と傘をアプリで紐づけて管理することで、返却率は驚異の99.5%を誇っています。
シェア傘は時代のニーズにマッチ
==============================================
―どのようにアイカサは生まれたのですか?
サービスが生まれた2018年当時、日本でもシェアリングエコノミーが盛り上がりを見せていました。シェアサイクルやモバイルバッテリーなどが浸透する中、「傘って持ち歩くのが面倒だよね」という声や、ビニール傘の廃棄問題への関心が高まり、アイカサが誕生しました。サービスは時間効率・コスト効率を重視する人々に受け入れられ、特に外出の多い営業職の方や、手ぶらで移動したい旅行者から支持を集めています。
利用者層は20代〜40代を中心に、幅広い世代に広がっています。
法人利用のメリットとは?
=============================================

―法人利用のメリットについて教えてください!
法人向けには、「オフィスプラン」が用意されています。これは、企業が契約・費用を負担することで、社員が全国のアイカサを無料で利用できるというサービスです。
主な特徴は以下の3点:
①管理・メンテナンスはすべてアイカサが対応
②全国どこでも無料で利用可能
③社員のSDGs意識の啓発に寄与することが可能。
たとえば、急な出張や休日勤務でも、現地で傘を購入せずに済みますし、会社に設置されていれば、突然の雨にもすぐに対応できます。
また、会社の「置き傘問題」や傘の廃棄に関わる手間を減らせることから、総務部門やサステナビリティ推進担当からの問い合わせも増加中です。
さらに、傘や傘立てに企業広告を掲載する「アイカサ広告」も人気です。視認性が高く、雨の日に自然と視界に入るため、高い広告効果が期待できます。
商業施設や関西エリアにも拡大中
============================================
―最近は商業施設にも導入が進んできたとか。
はい。アイカサを設置して雨の日の来店機会を増やす目的や、買い物中に傘を持ち歩く煩わしさを解消するため、エントランス付近に設置されるケースが増えています。電源不要なので、設置には工事も不要ですし、週1回のメンテナンスで常に快適に使える環境が整えられています。今後は関西エリアの駅での設置が加速する予定です。
晴れの日にも活躍する傘へ
============================================

熱中症対策が必須の日本において、アイカサは“夏の相棒”としても活躍の場を広げていきます。
これからも進化し続けるアイカサ。ぜひ、あなたの生活にも取り入れてみてください!
―本日は、ありがとうございました。
株式会社Nature Innovation Group
COO/勝連 滉一(かつれん こういち)